ビルドトラップ本、示唆に富んでいて何度も読み返しているけど、同じ意味が別の用語で表現されたり、用語に対するドンピシャの説明がなかったりするので、周囲との共通語彙・認識を作る目的での課題図書にはしにくいと思う(ライトにアンチパターン集として読み合わせるだけでも十分効果出そうだけど)
— あらたま (@ar_tama) 2023年5月27日
というわけで、自分の理解の整理のためにも、各概念をまとめ直してみました。
出典:「プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」
本そのものの要約はこちらが詳しかったので、ご参考ください。 note.com
前提:価値交換システム
顧客にプロダクトやサービスを提供する(アウトプット) ↓ アウトプットが顧客の抱える要望や課題を解決する ↓ それに見合ったお金がビジネス側に返ってくる(アウトカム)
つまり、顧客が価値を認める(=アウトカムが得られる)のは、自分たちの問題が解決したり、要望やニーズが満たされたときだけ
ビルドトラップ
- 組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして行き詰まっている状況
- アウトカム…実際に生み出された(顧客に届いた)価値
- アウトプット…機能の開発・リリース
- ビルドトラップが起きるのは
- アウトプットは顧客・顧客の求めるものへの理解なく出せるから
- 戦略を「計画」として考えてしまうから
主なアンチパターン
戦略
- 優れた戦略とは、意思決定を助けるフレームワークのこと
- (詳細な)計画ではない
- 単なる機能の列挙ではない
- 「現在のコンテキストとの整合性を保ちながら、現在の能力の制約のもとで、望ましいアウトカムを達成するための行動を可能にする、実行可能な意思決定のフレームワーク」(The Art of Action)
- 組織全体で語られるストーリーを相互に結びつけ、特定の時間枠における目的とアウトカムを説明するもの
- 周りにストーリーを伝えて、足並みを揃える必要がある
- 足並みを揃える=組織(チーム)のサイズに適切なレベルの目標と、自律的に行動するために活動範囲を規定する(=狭める)こと
- マネジメントで言うところの「上意下達/翻訳」に該当
戦略の4つの粒度とその展開
★…誰が主導すべきか
ビジョン(企業単位)★CEO
5~10年でどうなりたいか、顧客にとっての価値、マーケットでのポジション、ビジネスがどうなっているか
戦略的意図(企業単位)★CEO, CxO
- ≒ビジネス目標
- ビジョンを実現する上で、立ちはだかっているビジネス上の課題は何か
- 問いかけ「現在の状況を踏まえて、ビジョンを実現するために自分たちができる一番重要なことは何か?」
- 価値検討フレームワークを活用して、 1個に絞る
- 多すぎると「薄く塗ったピーナッツバター」=全部が手薄になる
例:Netflixは「ストリーミングをリードする」が戦略的意図だった
※ コンテンツを増やしたり、専用デバイスを作ったりしたのも、全てこの戦略的意図から派生したもの
プロダクトビジョン
- 戦略的意図を達成するための価値提案
- つまり、ユーザーに何を提供するのか
- 戦略的意図とプロダクトイニシアティブをつなげる存在
- プロダクトイニシアティブを考えるにあたって立ち返る場所として定義しておけるとよさそう
- Amazonはプレスリリースを実際に書いて、これを簡潔な文章にまとめるというのをやっている
プロダクトイニシアティブ(プロダクト単位)★PdM
- プロダクトの観点で課題に取り組むには、どんな問題を扱えばよいかの指針
- ≒ビジネスの目標を達成するために、ユーザーや顧客のどんな問題を解決するべきか
オプション(プロダクト単位)★PdM, Des, Eng
- 問題を解決して目標を達成する別の方法はないか
- 「コンテンツの拡充により新規ユーザーの獲得・既存ユーザーのリテンションを向上する」がプロダクトイニシアティブのとき、それに対して最適な打ち手は何かを探索=検証する
- 供給者から自発的にコンテンツが増える働きかけをするのか、仕組みを作るのか
- ユーザーからのFBが返りやすい仕組みを作るのか、FBまでのリードタイムを短くするのか
- 新しい供給者を増やす働きかけをするのか
プロダクトのカタ
以下の1~4を、具体度を上げながらぐるぐる回してフェーズを進めていくイメージ
- PdMはまず、企業のビジョン・戦略的意図を理解(または一緒に作るなど)して、プロダクトイニシアティブを立てるのを目標とする(1~3)
- 1つのイニシアティブにつき複数のオプションが存在する場合は、それぞれが生むアウトカムがイニシアティブの達成にどれだけ近づいているかを測れるようにする必要がある
- つまり、成功の指標を更に短い時間軸の中で計測できるものに分割する必要がある
フェーズと進め方
フェーズごとに以下の質問を自らに投げかけて、ぐるぐる回す
- 目標は何か?
- 目標を踏まえて、自分たちは今どこにいるのか?
- 目標に到達する上で立ちはだかる最大の問題や障害は何か?→どうやってその問題を解決するか?
- 何が怒ると予想されるか?(=仮説)
- 実際には何が起こったか、そこから何を学んだか?
方向性の探索
- アウトカムが生まれること=ビジネス目標が達成されることなので、どちらともの健全性を測るための指標を定義する必要がある
- AARRRとかHEARTとか
問題の探索
- オプションとプロダクトイニシアティブを行ったり来たりして、解くべき問題を定める
- ここまでがダブルダイヤモンドの左側
ソリューションの探索
- 「問題」の解決策の検証
- オプションが最適であることを、最短で導き出す
ソリューションの最適化
- 最適なオプションを磨き込み、機能化する
- ここで「作るべき機能とそのスコープ」が定まり、
- 届けた価値をユーザーが享受し、
- プロダクトイニシアティブの達成に一歩近づく